夜中に映画館へ行った。日付も変わる様な時間。
 映画はあまり見ない。自発的に映画館へ行ったのはいつ以来かな。2年振りくらいかしら。
 原作は小説を読んでしまってた。映画とはストーリーがちょっと違った。原作の方がすきだな。原作にあったところどころの文章がよかったから。だけど原作を読んだ時、あたしの頭の中にあらわれた主人公の恋人たちはあんなにもあんなにも可愛くじゃれあってなかった。あたしの力では作り出せなかった恋人たちの姿がスクリーンの中にあった。電気を消したりつけたり、くだらないことに一生懸命可愛くののしりあったり、甘えたり甘えたり。羨ましくなった。原作を読んだ時にあたしの頭の中では浮かび上がらせなかった可愛い恋人たちの姿を作り出せた「映画」を羨ましく思ったのか。それとも単純に 可愛くじゃれあう恋人たちを羨ましく思ったのか。どうでしょ。
 家に帰り、1人でビールを飲んだ。映画を見ることはあたしにとって「アルコールを摂取せずに酔う手段」である。だから、ここでビールを飲むのは間違ってるって分かってた。せっかく映画で酔えたのにアルコールを摂取したら意味が無い。だけど今日は飲みたかった。そうしたらきっともっとよりあの映画に酔えると思ったから。