ぱん生地と向かいあう。こねる。こねるこねる。


彼女たちと過ごす時間は ぱん作りの過程と似てると思った。
こねる。こねる。こねる。
お互いの口からでるアイディア。


こねた生地は発酵する。
しばらくした後でぐぅううっとふくれあがる。


彼女たちと過ごすとあれやこれやが ぐぅううっとふくれあがる。
はちきれんばかりに。
あたしは焼き上がったぱんを見るのがだいすきで、それがぱん作りの
最後の楽しみ。
もちろん食べる楽しみもあるけど、「作る過程」での最後の楽しみが焼き上がり。


今日、
彼女たちと一緒にこねたものは
只今じっくり発酵中。じっくり発酵させなくては。
焼き上がりまでは、まだしばらくかかりそう。
これ程焼き上がりが楽しみなこともなかなかないな。





車の中で彼女たちと出会えたことについて、話してた。
彼女は「それはyouちゃんが自分で開いた運やから。」と言った。
でもやっぱりそれは。
あたしは自分で切り開いたとは思えなくて、神さんがあたしに甘かっただけじゃないかって
そう思ってしまう。
やっぱり、恵まれた運だろうって。
もしこれがあたしが切り開いた運ならあたしはあの日、貼り紙を見つけた自分に、
電話をかけた自分に、ありがとうを言いたいし、褒めてやりたい。
あの日のあたしが切り開いてくれた運を無駄にしないよう、
やっていきたいと思った。


電車の中の空の色。
見ましたか、見ましたよ。
淡い水色と淡いオレンジ。



お互いの、線。嫉妬。くやしさ。波。保ちたい距離。
それがあるから、きっといい。
きっとそれは菌だから。だからきっと、ふくらむ。