少年に出会った。
少年はあたしよりも1つ年下なだけだから、
あたしのことをもう「少女」と呼べないのと同じで
彼も「少年」と呼べるような歳ではないのだけど。
でも。あたしは彼のことを「少年」だと思った。



大人は誰しもかつては少年で少女だった。
何かをきっかけに少年の瞳をもう1度輝かせることが出来ても
頭の先からつめの先まで、心の根からうわべまで、
全てを少年のままで保てることは出来ない。
大人になるにつれ、知らない世界を知り、世界を広げ
嫌な部分もいっぱい見たり、感じたりすることによって
少年である部分は消えていくのだと思う。
それは、当然のことで、時間を経過させ、生きてるということでもある。



でも彼はまだ「少年」だった。
きっと彼は10年後も20年後も、たとえ100歳になっても
ずっと「少年」のままだと思う。
彼は、選ばれた人だと、そう思わずにはいられなかった。
きっと、ずっと少年でいていいという少年枠に
彼は選ばれた人。
永遠に少年の輝きを放つ人。



あたしは彼から目が離せないわ。そして、羨ましい。
あたしがもし生まれ変わったら
その「少年枠」に入れて欲しい。
今から願っておけば、叶うかもしれない。
少年に、なりたい。